NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-09-06

AMC会長がロビンフッドの「株式トークン」に反発。発行体の同意なきトークン化に上場企業側から初の異議

自社株が発行体の関与なくトークン化されることに、上場企業のトップが正面から異議を唱えた。トークン化株式は誰の許諾を必要とするのかが問われている。

BY OFM Research · 4 MIN READ

SHARELB!

AMCエンターテインメント・ホールディングスのアダム・アロン会長兼CEOは2026年9月3日、ロビンフッドが提供する米国株のトークン化商品について適法性に疑義を示し、外部の証券弁護士に検討を指示したとSNSで表明した。ロビンフッドの開示文書によれば、当該商品はジャージー法人ロビンフッド・アセッツが発行するトークン化債券で、保有者は原株に対する法的・受益的権利を持たない。日本の証券会社や取引所にとっては、発行体の同意なく参照型トークンを組成できるかという論点が実務上の争点になる。

何が起きたか

アロン氏は9月3日のSNS投稿で、ロビンフッドが扱う米国株のトークン化商品が連邦証券法上の登録を経ていない点を挙げ、どうして適法たりうるのかと述べた。AMCは当該トークンの組成に関与しておらず容認もしていないとし、外部の証券弁護士に直ちに精査させる方針を示した。

ロビンフッド自身の商品文書によれば、この「ストックトークン」はジャージー法人ロビンフッド・アセッツ(ジャージー)リミテッドが発行するトークン化債券である。原資産である米国株やETFの経済的エクスポージャーを提供するが、原証券に対する法的・受益的権利も、その発行体への請求権も保有者には生じない。米国証券法上の登録はなく、米国人への提供は行わないと明記され、カナダ、英国、スイスも制限対象である。発行体であるジャージー法人自体は規制対象ではないと同社は開示している。2025年にはオープンAIが同様の異議を唱えていた。

なぜ重要か

論点は、トークン化が発行体のオプトインを要するかである。ロビンフッドの構造は原株の所有権をトークン化するのではなく、原株を参照する債券を海外法人が発行するものだ。この設計では発行体の同意は法律構成上必要とならない。一方で発行体から見れば、自社の名称と株価が同意なく金融商品の参照指標に使われる。

日本の証券会社や取引所には二つの論点が生じる。第一に、海外で組成された参照型トークンを国内顧客に取り次ぐ場合、原株の発行体と契約関係のない商品を扱う説明責任をどう設計するか。第二に、国内で組成する側に回る場合、預託証券方式などで発行体の関与を組み込むか、参照型として発行体の外側で完結させるかである。前者は調整コストと引き換えに議決権や配当の帰属が明確になり、後者は速いが今回のような反発を招く。

注視点

AMCの外部弁護士が法的手続きに進むかが第一の焦点である。米国外向け限定である以上、米国証券法に基づく直接の請求は容易でないとみられる。第二に他の上場企業が続くか、第三に日本のトークン化株式の制度設計で発行体の同意要件をどう位置づけるかである。

進捗段階

実装トラック②(商用提供中だが、原株の法的移転は伴わず参照型にとどまる)/規制トラック①(米国では未登録・域外提供として整理され、規制対応は継続中)

用語解説

  • ストックトークン:株式やETFの値動きを参照するトークン。原株の所有権を移転するものと、参照するだけのものがあり、法的性質は設計により大きく異なる。
  • トークン化債券:発行体が負う債務をトークンの形で表章したもの。原資産の値動きに連動しても、保有者の請求先はあくまで債券の発行体である。
  • 受益的権利:名義上の所有者と実質的な利益享受者が分かれる場合に、後者が持つ権利。議決権や配当請求権の帰属を判断する際の基準になる。
  • オプトイン:当事者の明示的な同意を得てはじめて対象に含める方式。トークン化では、原資産の発行体の同意を要件とするかが論点になる。
  • 域外提供:ある国の証券法の適用を避けるため、その国の居住者を提供対象から除外して商品を提供すること。米国では該当者を「米国人」として定義する。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-06

RELATED RECORDS

WRITTEN BY

OFM Research

Researcher

OFM リサーチチームは、ブロックチェーン・暗号資産関連および金融についての深い知識に基づいて、今現場で起こっていることをリサーチ・取材する専門チームです。

NEWSLETTER

オンチェーン金融の最新記事を毎週お届け

ニュースレターに登録すると、編集チームが厳選した週次ダイジェストを毎週月曜日にお届けします。