NEWS韓国実装⓪合意・表明のみ2026-08-29

Visa、韓国で今週2件目の提携──Upbit運営会社とステーブルコイン決済を検討

提携は枠組みであって商品ではない。それでも、韓国最大の暗号資産取引所と国際カードネットワークが同じ机に着いた事実は軽くない。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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韓国最大の暗号資産取引所Upbitを運営するDunamuは2026年8月28日、Visaとステーブルコイン決済、国際送金、AIを用いた金融サービスの分野で戦略提携を結んだと発表した。契約主体はVisaのアジア太平洋法人で、両社はサンフランシスコで工程を示した。検討対象には、Open Standardが開発中のドル建てステーブルコインOUSDを用いた事業モデルが含まれる。商品の構造、対象国、稼働時期はいずれも未定である。Visaにとっては同月のシンハン金融グループに続く韓国2件目の提携となる。

何が起きたか

両社は、Dunamuが取引所運営を通じて蓄積したカストディ、送金、マネー・ローンダリング対策の技術と、Visaの決済ネットワークを組み合わせ、ステーブルコインを用いた決済・送金・清算のサービスを検討すると説明した。AIエージェントが利用者に代わって商品を探し、購入と支払いを行うエージェンティック・コマースも検討範囲に含まれる。両社は段階を踏んで開発し、各国の法令を踏まえるとしており、商品の提供を約束するものではない。Dunamuには2026年5月にハナ金融グループが6.55%を出資しており、報道では取得額は6億6,600万ドル(約1,066億円、1ドル=160円で換算。レートは2026年8月28日ニューヨーク市場終値ベース。円換算は本稿による)とされる。7月にはサムスン系3社が合計4%を取得した。Dunamuは自社のパブリックチェーンGiwaも運営している。

なぜ重要か

韓国はウォン建てステーブルコインの制度化を巡る第2段階の立法が滞っており、法整備を待たずに事業者側の提携が先行している構図である。銀行、財閥、取引所、国際カードネットワークが同じ案件に集まる形は、日本で銀行・信託・決済事業者が同時に動く構図と重なる。ただし日本は制度が先に整い、事業者はその枠内で動いている。どちらの順序が実装を速く進めるかは、今後2年の比較材料になる。国際カードネットワークが各国のステーブルコイン構想を自社の決済網の下に束ねようとしている点も見逃せない。決済経路の設計と手数料の配分がどこで決まるかという問題であり、加盟店開拓を手がける国内の決済事業者にも関わる。

注視点

提携の実体を判断する材料は、対象国、対応する法定通貨、決済経路、稼働時期の四点である。現時点ではいずれも公表されていない。OUSD自体が未稼働であり、Dunamuは開発主体であるOpen Standardへの正式参加を表明していないとされる。韓国のデジタル資産関連法の第2段階立法の行方が最大の変数になる。

進捗段階

実装トラック①(検討合意)。商品、対象、時期のいずれも未定で、稼働を前提とした段階ではない。前提となる韓国の法整備も完了していない。

用語解説

  • Dunamu:韓国最大の暗号資産取引所Upbitを運営する企業。ハナ金融グループとサムスン系企業が出資しており、伝統的な金融と暗号資産市場をつなぐ位置にある。自社でパブリックチェーンGiwaも運営している。
  • OUSD(Open USD):Open Standardが2026年6月に発表したドル建てステーブルコイン。Visa、マスターカード、ブラックロック、サークルなど140社超が参加し、準備資産から生じる収益を参加企業で分け合う設計とされる。本稿執筆時点で未稼働である。
  • エージェンティック・コマース:AIエージェントが利用者に代わって商品を探し、購入と支払いまで完結させる取引形態。人が都度承認しないため、与信枠、本人確認、不正時の責任分担をどう設計するかが未解決の課題として残る。
  • 戦略提携(MOU):事業の方向性について合意するが、具体的な商品や投資を拘束しない契約形態。稼働中のサービスと同列に扱うと実態を過大に評価することになるため、区別が必要である。
  • デジタル資産基本法(韓国):韓国が段階的に整備している暗号資産の規制枠組み。第1段階は利用者保護を中心に施行済みだが、ステーブルコインの発行主体要件を含む第2段階の立法は本稿執筆時点で成立していない。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-29

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