NEWSグローバル実装②限定実装(パイロット)2026-09-01

UOB、HSBCとSwift台帳で香港ドルのトークン化預金取引 9月にシンガポールドルと米ドルへ

Swiftの共有台帳を使った実取引の2例目である。参加17行のなかに三菱UFJ銀行が入っていることが、日本の銀行にとっての本題になる。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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UOBとHSBCは2026年8月28日、Swiftのブロックチェーン基盤の台帳上で、香港ドル建てのクロスボーダーのトークン化預金取引を実取引として完了したことを明らかにした。シンガポールに本店を置く銀行としては初となる。UOBは9月に他の提携行との間でシンガポールドルと米ドルの取引を予定する。Swiftは2026年7月9日に同台帳の初期利用開始を発表し、6大陸17行が実取引の準備に入っていた。最終決済は既存システムで行う設計であり、台帳上で完結するわけではない。

何が起きたか

Swiftの台帳は、参加行がそれぞれ自らの台帳で発行するトークン化預金について、支払指図を突き合わせてネッティングする共有の調整層である。Swiftは7月の発表で、参加行が顧客のために夜間や週末も資金を動かし、最終決済は既存システムで完了させる構成だと説明している。共通のトークンを発行するわけではなく、各行の預金負債は各行の台帳に残る。

実取引の1例目は8月19日のHSBCとスタンダードチャータードによるもので、今回が2例目にあたる。UOBのグループ・トランザクションバンキング責任者は、香港ドルのクロスボーダー取引に加え、他の提携行とのシンガポールドル・米ドルの取引を通じて次世代の決済基盤を進めると述べている。国内取引についても、24時間の銀行間決済に共有台帳が使えるかを検証する意向を示した。なお、UOB自身の発表文は本稿執筆時点で確認できていない。

なぜ重要か

邦銀にとって他人事ではない。7月に公表された17行の顔ぶれには三菱UFJ銀行が含まれており、実取引の順番が回ってくるのは時間の問題とみられる。問われるのは技術ではなく、どの通貨・どの拠点・どの顧客フローで最初の1件を出すかという業務側の選定である。

資金為替部門にとっては、日中流動性の前提が変わりうる点が重要になる。夜間・週末に資金を動かせるなら、コルレス先に置く事前資金を減らせる可能性がある。ただし最終決済が既存システムに残る限り、削減できるのは待機時間であって決済リスクそのものではない。ここを取り違えると効果の見積もりを誤る。

注視点

第一に、9月に予定されるシンガポールドル・米ドル取引が実施されるかである。第二に、邦銀の初回取引の時期と通貨。第三に、最終決済を台帳上へ移す計画が示されるかどうかである。ここが動かない限り、共有台帳は指図の調整層にとどまる。

進捗段階

② 本番取引の実施(実装トラック)。実取引として完了しており、実証の段階は越えている。ただし最終決済は既存システム側に残り、反復的な業務フローとして既存プロセスを置き換えた段階ではないため、③以上とは判定しない。

用語解説

  • トークン化預金:銀行が自らの預金債務をブロックチェーン上のトークンとして記録したもの。発行体は銀行であり、預金保険や既存の銀行監督の枠内にとどまる点でステーブルコインと異なる。24時間の移転が可能になる一方、価値の裏付けは発行銀行の信用に依存する。
  • 共有台帳(shared ledger):複数の参加者が同じ記録を参照する台帳。今回の構成では、各行の預金トークンは各行の台帳に残り、Swiftの台帳は行間の債務を突き合わせて調整する層として機能する。共通の決済トークンを発行する方式とは設計思想が異なる。
  • ネッティング:複数の債権債務を相殺し、差額だけを決済する処理。決済に必要な資金量を圧縮できるが、相殺から最終決済までの間は相手方の信用リスクが残る。原子的決済とは区別して理解する必要がある。
  • 決済ファイナリティ:決済が法的に取り消せなくなる時点。今回の構成では、台帳上での突合・相殺の後に既存システムで最終決済が行われるため、法的なファイナリティは台帳の外にある。
  • 事前資金(プレファンディング):クロスボーダー決済のため、あらかじめ相手国の口座に置いておく資金。24時間の資金移動が可能になれば圧縮の余地が生まれるが、その効果は最終決済側の稼働時間にも左右される。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-01

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