NEWSグローバル実装④本番稼働(全面)2026-09-15

トークン化株式、月間DEX取引高が1月の33倍に 残高の伸びを取引が上回る

残高が増えたから取引が増えたのではない。同じ残高が何度も回転している。この違いが、トークン化株式の評価軸を入れ替えつつある。

BY OFM Research · 4 MIN READ

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バイナンス・リサーチは9月11日、トークン化株式市場を分析したレポート「When Stocks Become On-Chain Assets」を公開した。複数の発行体とチェーンを横断した集計で、稼働中の時価総額は9月9日時点で約40億ドル(約6,170億円)と年初来314%増、分散型取引所(DEX)の月間取引高は1月の2億3,700万ドル(約366億円)から8月には79億ドル(約1兆2,187億円)へ33倍超に拡大した。同社は競争の焦点が発行から流通と実利用に移ったと結論づけている。

何が起きたか

月間回転率(平均稼働時価総額に対する取引高の比率)は1月の0.23倍から8月の2.14倍へ上昇し、7月には3.32倍まで達した。残高の伸びを取引の伸びが上回る状態が続いている。もうひとつは、トークン化株式が暗号資産市場内で「建値資産」として使われ始めている点である。7月下旬から9月上旬にかけて、株式トークンを対に取った市場の取引高はロビンフッド・チェーンで約24億9,000万ドル(約3,841億円)、BNBチェーンで29億ドル(約4,473億円)に達した。ロビンフッド・チェーンの標本では、株式トークンのDEX累計取引高の32.1%が他のトークン、主にミームコインとの取引だったとされる。同社は、今後の評価指標は発行銘柄数や時価総額ではなく継続率、板の厚み、DeFiでの利用率に移ると述べる。なお本記事はレポートを報じた二次媒体に依拠しており、レポート本体は確認していない。

なぜ重要か

この数字は、直前に欧州証券市場監督機構(ESMA)が示した流動性分断への懸念と正面から対になる。ESMAは、原株式とは別にトークン側で流動性が形成され価格発見が分かれる点を問題視した。今回の集計は、その分断が実際に起きていることを取引データの側から裏づける格好になっている。日本の証券会社・資産運用会社にとっての論点は二つある。ひとつは、トークン化株式が原株式の代替ではなく暗号資産市場内の建値として使われている実態であり、既存の株式ビジネスの延長では捉えられない。もうひとつは、ミームコインとの取引が相当割合を占めるという構成である。国内で同種の商品を扱う場合、顧客が何のために保有するのかという前提が従来の株式とは異なる点を織り込む必要がある。

注視点

集計対象となる発行体とチェーンの範囲、稼働時価総額の定義は、レポート本体で確認を要する。バイナンス自身がトークン化株式を扱う事業者であり、市場拡大を示す数値の解釈には発行者側の視点が含まれうる。今後は、この取引高がミームコイン市況にどこまで左右されるか、ナスダックが2027年第2四半期を目標とするネイティブなトークン化株式との関係がどう整理されるかが焦点になる。

用語解説

  • トークン化株式:株式や上場投資信託への経済的エクスポージャーをブロックチェーン上のトークンとして提供する商品。原株式との法的関係や投資家に与えられる権利は商品ごとに異なり、保有者が原株式を直接所有するとは限らない。
  • 回転率(ターンオーバー):一定期間の取引高を平均残高で割った比率。残高に対してどれだけ売買が行われたかを示し、値が高いほど同じ資産が短期間に繰り返し取引されていることを意味する。
  • 建値資産(クオート資産):取引ペアで価格の基準となる側の資産。通常は法定通貨やステーブルコインが使われるが、トークン化株式がこの位置に入ると、株式の値動きが他の資産の建値に影響する。
  • 流動性分断:同一の原資産に対し、複数の市場で別々に流動性が形成される状態。板が薄くなり価格差が生じやすく、価格発見の一元性が損なわれる点が監督当局の懸念材料となっている。

出典

円換算は1ドル=154.26円(2026年9月14日ニューヨーク市場終値)で筆者が算出した。


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-15

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OFM リサーチチームは、ブロックチェーン・暗号資産関連および金融についての深い知識に基づいて、今現場で起こっていることをリサーチ・取材する専門チームです。

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