NEWSグローバル実装③本番稼働(限定領域)2026-09-16

トークン化RWA残高は約388億ドル、30日で1%増にとどまる 論点は「上場の数」から「使えるか」へ

資産をオンチェーンに載せること自体は、もう難しくない。問われているのは、載せた資産が担保や決済で実際に使われているかどうかだ。

BY OFM Research · 5 MIN READ

SHARELB!

報道によると、RWA.xyzが集計したトークン化資産(ステーブルコインを除く)の残高は、2026年9月15日時点で388億6,000万ドル(約6.03兆円)だった。直近30日間の増加率は1.00%にとどまる。調査会社Castle Labsは9月14日のレポートで、今後の成長は銘柄の数ではなく、担保としての利用や流動性で決まると論じた。日本の運用会社や信託銀行にとっては、商品を「使われるか」で評価し直す必要を示すデータである。鈍化が一時的かどうかは、今後の推移で確かめる必要がある。

何が起きたか

暗号資産メディアのCryptopolitanによると、RWA.xyzが9月15日時点で示した分散型資産の残高は388億6,000万ドル、保有者は約424万だった。同じ記事の中に388億9,000万ドルという値も併記されている。Castle Labsは、このうち米国債系を159億ドル超としている。チェーン別(9月14日時点)では、次のように報じられた。

  • イーサリアム:173億ドル
  • BNBチェーン:56億ドル
  • ソラナ:43億ドル

Castle Labsは、Kraken、Ondo、Franklin Templeton、BlackRockなどが既にトークン化商品を提供できる現状では、新たな上場を一つ増やす価値は小さいと指摘した。そのうえで今後は、取引所間の移動、担保としての利用、厚い流動性が成否を分けると論じている。

なぜ重要か

この見方は、Pantera Capitalが5月に公表したデータとも一致する。同社は稼働中の542資産を採点し、次のように分析した。

  • 約77.6%は、既存資産を包んだだけのラッパー型
  • オンチェーンで完結するネイティブ型は2.7%
  • 米国債系トークンのうち、DeFiで実際に運用されている割合は3.2%

ただし、Panteraの集計はステーブルコインを含んでおり、RWA.xyzの数値とは集計範囲が異なる。

日本のトークン化MMFや不動産STも、発行と償還を管理者が握るラッパー型が中心とみられる。英国当局の意見募集でも、担保としての利用が最大の便益とされた。商品設計の段階で、担保としての適格性や他の基盤との相互運用を織り込めるかどうかが、今後の差別化要因になると考えられる。

注視点

30日で1%という伸びが一時的な踊り場なのか、構造的な鈍化なのかは、まだ判断できない。DTCCが10月に予定するトークン化サービスの本格開始や、担保利用を巡る制度整備が、残高と利用率を押し上げるかを見極める必要がある。なお、Panteraは、レポートで取り上げた一部の商品に投資していると開示している。

進捗段階

実装トラック:市場全体では①が中心(ラッパー型が大半で、台帳が権利を確定させる事例は少ない)。

用語解説

  • RWA(現実資産):国債、ファンド、不動産、金など、ブロックチェーンの外に実体がある資産を指す。これらをトークンで表示したものがトークン化RWAである。集計では、ステーブルコインを含めるかどうかで規模が大きく変わる。
  • 分散型資産(Distributed asset):RWA.xyzが用いる区分で、発行体のプラットフォームの外でも移転や保有ができるトークンを指すとみられる。発行体の台帳の中でしか動かない「表示型」とは区別して集計されている。
  • ラッパー型とネイティブ型:Pantera Capitalの分類である。ラッパー型は、オフチェーンの資産の受領証としてトークンを発行する形で、権利の確定は台帳の外にある。ネイティブ型は、発行・償還・決済をスマートコントラクトで完結させる形である。
  • コンポーザビリティ:トークンを別のプロトコルで担保にしたり運用に回したりと、組み合わせて使える性質を指す。現実資産で担保や決済への活用を広げるには、この性質と、権利を確定させる法的な手当ての両方が必要になる。

※円換算は筆者算出。1ドル=155.10円(2026年9月15日ニューヨーク市場終値)を使用。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-16

RELATED RECORDS

WRITTEN BY

OFM Research

Researcher

OFM リサーチチームは、ブロックチェーン・暗号資産関連および金融についての深い知識に基づいて、今現場で起こっていることをリサーチ・取材する専門チームです。

NEWSLETTER

オンチェーン金融の最新記事を毎週お届け

ニュースレターに登録すると、編集チームが厳選した週次ダイジェストを毎週月曜日にお届けします。