NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-09-04

米CLARITY法、上院クローチャー投票が9月15日に──SEC委員長が可決に期待表明も、60票の壁は未解消

デジタル資産の市場構造法案は、成立の可否ではなく審議入りの可否をまず問われる。9月15日に予定される採決は、その手前の関門にすぎない。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米SECのポール・アトキンス委員長は2026年9月2日、デジタル資産市場構造法案(CLARITY法)について上院が9月15日に採決すると述べ、可決への期待を示した。予定されているのは審議入り動議へのクローチャー(討論終結)投票で、可決には60票を要する。共和党は53議席で、民主党の賛成なしには通らない。ステーブルコインの報酬付与と公職者の利益相反規定が争点だ。日本の発行体にとっては、米国の相手方が証券規制と商品規制のどちらに服するかが決まる論点であり、不成立ならSEC・CFTCの規則対応が続く。

何が起きたか

上院はソーン院内総務が8月8日の休会直前にH.R.3633への審議入り動議についてクローチャーを申し立てており、上院が9月14日に再開した翌日の9月15日に採決が設定されている。クローチャーは討論を打ち切る手続きであり、法案の可決ではない。上院規則上、議事妨害を排するには5分の3、通常60票が必要となる。下院は2025年7月に294対134で可決し、上院銀行委員会は2026年5月に15対9で可決している。アトキンス委員長は9月2日のFox Business出演で「クラリティ法は9月15日に上院で採決される」と述べ、大統領の署名に至ることへの期待を示した。争点として残るのはステーブルコインの報酬付与に関する条文、公職者の利益相反に関する倫理規定、不正資金対策の扱い、上院農業委員会案の統合方法である。

なぜ重要か

日本の金融機関にとっての含意は二つある。第一に、米国でトークンが証券として扱われるか商品として扱われるかが決まれば、日本の発行体や仲介業者が米国利用者・米国取引所と接続する際の相手方規制が確定する。GENIUS法3条の規則案が「米国内での発行」「米国人への販売」の定義を争点としているのと同じ問題が、証券・商品の境界でも生じる。第二に、法案が通らない場合でもSECとCFTCは既存法の下で規則整備を続けると明言しており、規則ベースの規律が先行する状態が長引く。この場合、政権交代による方針転換のリスクが残るため、米国向けサービスの設計は法律の成立を前提にしない構えが要る。ステーブルコインの報酬付与をめぐる論争は、日本の電子決済手段が利息を付せない建て付けとも比較の対象になる。

注視点

第一に、9月15日のクローチャー投票が60票に届くかである。届かなければ11月の中間選挙前の会期に残された日数は限られる。第二に、仮に審議入りしても上院案と下院案の一本化が必要で、成立時期はさらに後ろにずれる。第三に、SECが8月25日に行政管理予算局へ送付したとされる暗号資産のカストディ規則案の扱いである。立法が滞る場合、実務への影響はこちらが先に出る可能性がある。

進捗段階

規制トラック①相当。下院可決と上院委員会可決は済んでいるが、本会議の審議入りすら未確定であり、成立していない法案として扱う必要がある。

用語解説

  • CLARITY法(デジタル資産市場構造法):デジタル資産を証券・商品・ステーブルコインに区分し、SECとCFTCの管轄を整理する法案。既存法では同じトークンが取引の文脈によって異なる扱いを受けるため、発行体と取引所の双方が予見可能性を欠いていた点への対応である。
  • クローチャー(討論終結動議):上院で討論を打ち切り採決に進むための手続き。通常60票を要する。可決しても法案が成立するわけではなく、審議の入口が開くだけである点は、報道の見出しと実際の効果を読み分ける際の要点になる。
  • 審議入り動議(motion to proceed):本会議で特定の法案を議題に取り上げること自体を決める動議。米上院では議題化の段階でも議事妨害が可能なため、法案そのものの採決の前に多数派の形成が問われる。
  • GENIUS法:2025年に成立した米国の決済用ステーブルコインの連邦法。発行者の許可制、準備資産、償還義務を定める。CLARITY法はこの枠組みの外側にある証券性・商品性の区分を担う位置づけで、二つの法律は補完関係にある。
  • 上院農業委員会:CFTCを所管する常任委員会。デジタル資産を商品として扱う部分の立法権限を持つため、銀行委員会案との条文統合が必要になる。この調整は成立時期を左右する実務上の要因である。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-04

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