NEWS香港実装①実証実験(PoC)2026-09-25

香港CMU、24時間オンチェーン・アトミック決済の基盤を構築へ──トークン化預金・規制ステーブルコインとの接続も検討

アジアの国際証券決済機関が、中銀マネーで常時決済できる基盤を持とうとしている。日本の証券決済インフラの将来像を考えるうえで、比較の軸になる動きだ。

BY OFM Research · 6 MIN READ

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香港金融管理局(HKMA)の余偉文総裁は2026年9月23日の財資市場サミットで、債券決済機関CMUを運営するCMU OmniClearが、24時間のオンチェーン・アトミック決済を担うデジタル資産基盤を構築中だと述べた。中銀デジタル通貨での決済に対応し、トークン化預金や規制ステーブルコインとの統合も探る。外国為替基金債券のトークン化の運用試験も行う方針である。日本の証券・資金決済インフラの設計を考える比較材料になる。稼働は報道では年末とされ、実際に使える決済資産の範囲が焦点となる。

何が起きたか

HKMAと財資市場公会が共催した財資市場サミットが9月23日に開かれ、余偉文総裁が基調講演を行った。総裁は、債券決済機関CMUの運営会社CMU OmniClearが、24時間のオンチェーン・アトミック決済を実現するデジタル資産基盤を構築していると説明した。この基盤は中銀デジタル通貨を決済資産として使えるようにし、トークン化預金や規制下のステーブルコインとの統合も探るという。あわせてHKMAは、外国為替基金債券(Exchange Fund Bills)のトークン化の運用試験を行い、銀行の資産負債管理の高度化に役立てる。現地報道によれば、新基盤は年末に稼働する予定とされる。CMUは今年、UAE中央銀行を参加者に迎え、スイスのSIXとの接続で株式のポストトレード業務も初めて開始している。

なぜ重要か

これまでのトークン化債券は、発行をオンチェーンで行っても、資金の受け渡しは既存の口座振替に頼る例が多かった。今回の構想は、国際的な証券決済機関そのものが、証券と資金を同時に受け渡す基盤を常時稼働させようとするもので、一段踏み込んでいる。決済資産の候補として中銀マネー、トークン化預金、規制ステーブルコインを並べている点は、国内でトークン化預金DCJPYを使ってデジタル証券のDVP決済を検証する取り組みとも重なる。また、中銀が発行する短期証券をトークン化し、銀行の流動性管理に使わせる試験は、日本に置き換えれば国庫短期証券や日銀当座預金の扱いに関わる論点である。香港が債券と資金の両面で24時間化を先行させれば、アジアの債券の発行・決済地としての競争力に差が生じうる。

注視点

第一に、年末の稼働時点で実際にどの決済資産に対応するのか。デジタル香港ドルの位置づけも含めて確かめる必要がある。第二に、トークン化預金・規制ステーブルコインとの接続が、検討から決定に進むか。第三に、外国為替基金債券の試験が実際の資金を使うものか、検証にとどまるかである。

進捗段階

実装トラック①(構築中で稼働前。当局トップの講演での表明段階) 規制トラック:対象外

用語解説

  • CMU(債務工具中央結算系統):香港の債券の保管と決済を担う機関で、HKMAが設けた。現在はExchange Fund傘下のCMU OmniClearが運営している。日本でいえば、証券保管振替機構と日銀ネット国債系を合わせた役割に近い。

    • 英:Central Moneymarkets Unit (CMU) / 用例:The CMU plans round-the-clock on-chain settlement for tokenised bonds. (CMUは、トークン化債券の24時間オンチェーン決済を計画している)
  • アトミック決済:証券の引渡しと代金の支払いを一つの処理として同時に完了させる仕組み。一方だけが実行されて取引が宙に浮くリスクをなくす。従来のDVP決済を、同じ台帳上で瞬時に実現する形である。

    • 英:atomic settlement / 用例:Atomic settlement removes the gap between delivering bonds and paying for them. (アトミック決済は、債券の引渡しと代金支払いの間の時間差をなくす)
  • 国際証券決済機関(ICSD):複数の国の証券を預かり、国境をまたぐ決済を担う機関。欧州のユーロクリアやクリアストリームが代表例である。香港はCMUをアジアの主要な国際証券決済機関と位置づけている。

    • 英:international central securities depository (ICSD) / 用例:Hong Kong wants the CMU to serve as Asia's leading international central securities depository. (香港はCMUを、アジアを代表する国際証券決済機関にしたいと考えている)
  • 外国為替基金債券:HKMAが為替基金の勘定で発行する短期の債券で、銀行の流動性管理に広く使われている。日本の国庫短期証券に近い役割を持つ。そのトークン化試験は、担保や資金繰りに使う資産を24時間動かせるかを確かめるものである。

    • 英:Exchange Fund Bills / 用例:The HKMA will test tokenised Exchange Fund Bills for bank liquidity management. (HKMAは、銀行の流動性管理を念頭に、トークン化した外国為替基金債券を試験する)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-25

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