Circleは2026年9月10日、ブロックチェーン「Noble」上のUSDCと、旧版のチェーン間転送プロトコル「CCTP V1」の提供を段階的に終了すると発表した。Circle Mint経由の新規発行を10月13日に止め、2027年1月12日にNoble上のUSDC契約と関連経路を停止する。日本の金融機関にとっては、発行体の判断で特定チェーン上の流通が終わり得ることを取扱規程や顧客説明にどう織り込むかが論点となる。移行先の一覧は後日公表される。
何が起きたか
Circleは、より高速で安全性の高い新版「CCTP V2」への移行の一環として判断したと説明し、NobleにはCCTP V2を導入しない方針を示した。
日程は段階的である。Circle Mintの利用者は10月12日まで従来どおりNobleへの出金や償還ができ、10月13日に新規発行が止まる。10月31日からはNobleを送信元とするCCTP V1の上限が段階的にゼロまで引き下げられる。12月1日以降は、CCTP V1で送れる先が、同版への対応を続ける一部のチェーンに限られる可能性がある。2027年1月12日にはNoble上のUSDC契約と、Nobleを送信元・送信先とするすべてのCCTP V1経路を停止し、同日に残高のスナップショットを取る。
停止後は1月13日から手動の償還手続きを始める。対象となるには、Circleのコンプライアンス・セキュリティ要件を満たし、保有者自身が管理するウォレットにUSDCを置き、そのアドレスが1月12日のスナップショットに記録されている必要がある。Circleは移行先の一覧を公表する予定だが、退出用の画面は自ら運営しないとしている。
なぜ重要か
同じ「USDC」でも、どのチェーン上の残高かによって、使える期間と償還の手順が変わる。今回は十分な移行期間が設けられ、1対1の償還も維持されるが、期限後は本人管理ウォレットであることなどの条件を満たさないと手動償還の対象にならない。日本で外国発行ステーブルコインを扱う電子決済手段等取引業者や、決済・資金管理に使う金融機関は、取扱チェーンの一覧、発行体からの廃止通知の受領経路、顧客資産の移行手順を業務規程に組み込んでおく必要がある。カストディで顧客資産を預かる場合、期限までの移行が間に合わなければ、スナップショットの条件を満たせない恐れもある。
注視点
Circleが公表する移行先一覧と、交換業者のNoble版USDC入出金の扱いが次の焦点である。CCTP V1の廃止はNoble以外のチェーンにも波及する可能性があり、どのチェーンが旧版に対応し続けるかを確認しておきたい。
進捗段階
実装トラック:④→縮退(本番稼働中の経路を発行体が計画的に停止する段階)
用語解説
- USDC:米Circleが発行する米ドル連動型ステーブルコイン。現金と短期米国債などを準備資産とし、発行体が1対1での償還に応じる。
- CCTP:CircleのCross-Chain Transfer Protocol。移転元のチェーンでUSDCを焼却し、移転先で同額を新規発行することで、ラップ型トークンを介さずにチェーン間で移転する。
- Noble:コスモス経済圏向けに2023年に立ち上げられた、ステーブルコインや現実資産の発行・移転に特化したブロックチェーン。チェーン間通信プロトコル(IBC)でコスモス系チェーンに資産を届けてきた。
- Circle Mint:Circleが法人顧客向けに提供するUSDCの発行・償還サービス。銀行振込とUSDCの交換を直接行える窓口で、一般利用者は交換業者を経由する。
出典
- Circle公式X(2026年9月10日): https://x.com/circle/status/2098080307911991306
- あたらしい経済「サークル、ノーブル上のUSDCサポート終了へ」(2026年9月14日): https://www.neweconomy.jp/posts/607713
- crypto.news「Circle ends USDC and CCTP support on Noble」(2026年9月11日): https://crypto.news/circle-ends-usdc-and-cctp-support-on-noble/
- The Crypto Times「Circle to End USDC and CCTP V1 Support on Noble by January 2027」(2026年9月11日): https://www.cryptotimes.io/2026/09/11/circle-to-end-usdc-and-cctp-v1-support-on-noble-by-january-2027/
本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。