NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-10-06

CFTC、個人向けのレバレッジ付き暗号資産取引に連邦の枠組みを検討──正式な規則案の前段階で意見募集

暗号資産の市場構造を定める法律が成立しないなか、米国の当局は既存の権限の範囲で規制の空白を埋めにいく。今回はまだ「規則案の前の意見募集」であり、中身は固まっていない。

BY OFM Research · 6 MIN READ

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米商品先物取引委員会(CFTC)は2026年10月5日、個人向けのレバレッジ付き暗号資産取引について、規則案の事前通知(ANPRM)を公表した。取引の範囲を定める「Regulation CTX」と、取引所の新たな区分を設ける「Regulation CAM」について、官報掲載から60日間意見を募る。日本の金融機関にとっての論点は、海外の交換業者が主に提供してきたレバレッジ取引を、米国が先物の規制の枠組みに取り込もうとしている点にある。今回は正式な規則案ではなく、具体的な条文はこれから示される。

何が起きたか

根拠は、商品取引法のうち個人向けの商品取引に関する規定(2条(c)(2)(D))である。この規定は、個人が証拠金や借入を使って商品を買う取引を、一定の条件で先物と同じように扱う。Regulation CTXは、暗号資産のどの取引がこの規定の対象になるかを明確にする。Regulation CAMは、指定契約市場(先物取引所)の登録の下位区分として、こうした取引のための「暗号資産市場」を設ける。報道によれば、レバレッジ取引を提供する事業者は先物取次業者(FCM)として登録し、自己資本、マネロン対策、顧客資産の保護の規制を受ける形が想定されている。現物の取引は、引き続き州の規制の下に置かれる。セリグ委員長は、議会の立法がなければ、暗号資産の取引をCFTCの監督する場に限ることはできないとの認識を示した。

なぜ重要か

CLARITY法案は上院で可決に至らず、暗号資産の現物市場を誰が監督するかは決まっていない。CFTCは、自らの既存の権限で扱える「レバレッジ付きの個人取引」に範囲を絞って、枠組みを作ろうとしている。日本では、暗号資産の証拠金取引は金融商品取引法の対象で、個人の倍率は2倍までに制限されている。米国がどの程度の倍率や保護の水準を選ぶかは、海外の交換業者の競争条件を変え、日本の規制を考えるうえでの比較の材料にもなる。また、米国の利用者を海外の交換業者から国内の規制下の場に呼び戻せるかは、今回の枠組みが実際に使われるかどうかにかかっている。

注視点

第一に、60日間の意見募集を経て、正式な規則案がいつ示されるか。第二に、倍率の上限や、期限のない先物(パーペチュアル)の扱いが盛り込まれるか。第三に、SECが所管する証券に当たる暗号資産との線引きをどうするかである。

進捗段階

規制トラック:⓪(規則案の前の事前通知の段階で、条文は示されていない) 実装トラック:対象外

用語解説

  • ANPRM(規則案の事前通知):米国の行政機関が、正式な規則案を出す前に、論点や方向性を示して広く意見を募る手続き。条文の案は含まれないことが多い。寄せられた意見をもとに、規則案(NPRM)、最終規則へと進む。

    • 英:advance notice of proposed rulemaking (ANPRM) / 用例:The CFTC used an advance notice of proposed rulemaking to test its ideas first. (CFTCは、まず考えを試すために規則案の事前通知を使った)
  • 指定契約市場(DCM):CFTCに登録した先物やオプションの取引所。売買の監視、取引の規則、参加者の保護などについて、CFTCの定める原則を守る義務がある。今回の案は、その下位区分として暗号資産向けの市場を設けるものである。

    • 英:designated contract market (DCM) / 用例:A crypto asset market would be a new kind of designated contract market. (暗号資産市場は、指定契約市場の新しい種類になる)
  • 先物取次業者(FCM):顧客の注文を受けて先物取引を仲介し、顧客の証拠金を預かる業者。自己資本の規制や、顧客の資産を自社の資産と分けて管理する義務を負う。日本でいえば、証拠金取引を扱う第一種金融商品取引業者に近い位置づけである。

    • 英:futures commission merchant (FCM) / 用例:Firms offering leverage to retail users would register as a futures commission merchant. (個人にレバレッジを提供する事業者は、先物取次業者として登録することになる)
  • 個人向け商品取引(リテール商品取引):個人が証拠金や借入を使って商品を買う取引のうち、一定期間内に現物の受け渡しが行われないもの。米国の商品取引法は、こうした取引を先物と同じように規制する。暗号資産にこの規定を当てはめることで、CFTCは現物市場の全体を所管しなくても、レバレッジ取引を規制できる。

    • 英:retail commodity transaction / 用例:Leveraged crypto purchases by individuals can count as a retail commodity transaction. (個人によるレバレッジ付きの暗号資産の購入は、個人向け商品取引に当たりうる)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-06

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