NEWSその他2026-08-17

ブラジル中銀、暗号資産の外部送付に最大24時間の保留を導入 日本の詐欺対策要請と同じ処方箋が同じ週に

ブラジル中央銀行が、一定の暗号資産送金に最大24時間の保留を課す規則を公布した。日本の金融庁・警察庁が交換業者への出庫制限を要請したのは、その前日の8月6日である。オンチェーンの不可逆性という同じ課題に、二つの国が同じ週に同じ手法で応じた。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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ブラジル中央銀行が、一定の暗号資産送金に最大24時間の保留を課す規則を公布した。日本の金融庁・警察庁が交換業者への出庫制限を要請したのは、その前日の8月6日である。オンチェーンの不可逆性という同じ課題に、二つの国が同じ週に同じ手法で応じた。

何が起きたか

ブラジル中央銀行は2026年8月6日の理事会で決議第584号を承認し、7日に公布した。施行は2027年1月1日である。この決議は、決済サービスにおける詐欺防止の手続と統制を定めていた決議第142号(2021年)を改正し、その適用範囲に仮想資産サービスの提供を明示的に加えるものである。対象には仮想資産サービス提供者(PSAV)が含まれ、規制対応の移行期にある事業者も適用を受ける。

新設された第2条Bが中核である。海外に設立された仮想資産サービス提供者宛て、または自己管理ウォレット宛ての一定の移転指図について、事業者は入金された資金の受領から24時間が経過するまで実行できない。適用の閾値は1万米ドル相当で、単一の取引と同一顧客の一日あたりの合計額の双方が基準となる。この金額を下回る取引でも、事業者のリスク管理上の判断で追加の分析が必要と認められる場合には保留の対象となり得る。一方で、根拠のある判断に基づけば24時間の経過を待たずに保留を解除することも認められている。事業者は保留の性質と期間を顧客に明確に通知しなければならない。

決議はこのほか、詐欺および詐欺未遂の記録義務を仮想資産サービスにも拡張し、追加的な監督措置を定める第6条Aを新設している。

政治的な反発も生じており、8月10日には連邦下院議員のジュリア・ザナッタ氏が、この決議の効力を全面的に停止させる立法令案(PDL 926/2026)を提出した。業界内でも評価は割れており、8月中旬のブロックチェーン・リオ2026の登壇者からは、対症療法にすぎないとする批判と、市場の安全性を高めるとする擁護の双方が出ている。

なぜ重要か

日本の金融機関にとっての示唆は三点ある。

第一に、規制手法の国際的な同期である。金融庁と警察庁は8月6日、日本暗号資産等取引業協会に対し、法定通貨入金後または暗号資産購入後の一定期間の出庫制限、出庫先の事前登録制、出庫限度額の設定などを要請した。ブラジルの決議は、これと同じ「時間の遅延によってオンチェーンの不可逆性を補う」という発想に立つ。ブロックチェーン上の送付は事後の組戻しに馴染まないため、送付前の時間を稼ぐ以外に有効な手立てが乏しいという認識が、地理的に離れた当局間で共有されつつある。

第二に、設計の粒度の違いである。ブラジルは金額基準(1万ドル)、宛先基準(海外事業者と自己管理ウォレット)、時間(24時間)を規則本文で明示した。対する日本の措置は要請であり、待機時間や限度額の水準は各社の設計に委ねられている。柔軟性がある反面、日本の事業者は自社が採用した水準の妥当性を自ら説明する責任を負う。ブラジルの基準は、その説明における一つの参照点となり得る。

第三に、ステーブルコイン決済の効率性とのトレードオフである。企業間の決済では1万ドル超の送金は日常的であり、24時間の保留は資金効率を実質的に毀損する。クロスボーダーのステーブルコイン決済を設計する際、相手国側にこうした遅延規制が存在するかどうかが、想定していた即時性を左右する。海外送金の代替手段としてステーブルコインを検討する国内企業にとって、実務上の前提条件が変わり得る論点である。

注視点

施行は2027年1月1日で、事業者には対応期間が確保されている。ただし立法令案による差し止めの動きがあり、施行前に内容が変更される可能性は残る。日本側では、金融庁・警察庁の要請がJVCEAの自主規制規則にどう落とし込まれるかが焦点であり、その際にブラジルのような明示的な数値基準が採用されるかどうかが実務上の分岐点となる。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-17

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