NEWS日本実装⓪合意・表明のみ2026-09-27

ビットバンク、デジタル資産信託の準備会社JADATを三井住友信託銀行に全株譲渡──交換業者との合弁構想から、信託銀行グループ単独の事業へ

暗号資産を信託の仕組みで預かる会社づくりは、交換業者と信託銀行の共同作業として始まった。その担い手が、信託銀行グループの側に一本化される。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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ビットバンクは2026年9月25日、子会社の日本デジタルアセットトラスト設立準備(JADAT)について、保有する全株式を三井住友信託銀行に譲渡すると発表した。JADATは2022年5月の基本合意に基づき、暗号資産やセキュリティトークンを信託の枠組みで管理する信託会社の設立準備会社で、譲渡後は三井住友トラストグループの完全子会社となる予定である。国内でデジタル資産の保管を誰が担うかに関わる動きだ。譲渡額と実施時期は公表されておらず、信託業の登録と業務開始の時期が今後の焦点となる。

何が起きたか

ビットバンクは9月25日、子会社のJADATについて、同社が保有する全株式を三井住友信託銀行に譲渡すると発表した。譲渡後、JADATは三井住友トラストグループの完全子会社となる予定である。譲渡額と実施時期は明らかにされていない。JADATは、ビットバンクと三井住友トラスト・ホールディングス(当時)が2022年5月に結んだ基本合意書に基づく会社である。デジタル資産に特化した信託会社の設立準備会社と位置づけられ、信託業法に基づく登録を前提に、商号を「日本デジタルアセット信託」に変える予定としていた。管理の対象には、暗号資産、パブリックブロックチェーン上のセキュリティトークン、ステーブルコイン、NFTを想定している。報道によれば、両社はデジタル金融の進展を踏まえ、三井住友トラストグループの傘下で事業を進めるのが業界の発展につながると判断した。

なぜ重要か

暗号資産の保管は、これまで交換業者が自社の顧客資産として分別管理する形が中心だった。信託会社が受託者として保管すれば、資産は信託財産として受託者の固有財産から切り離される。機関投資家やファンドが求める倒産隔離を、法的な枠組みで説明しやすくなる。暗号資産を組み入れた投資信託やETFの議論が進むなかで、保管の担い手を誰にするかは実務の前提になる。今回、その担い手が交換業者と信託銀行の合弁ではなく、信託銀行グループ単独の会社に整理された。なお、ビットバンクはSBIグループによる完全子会社化の手続き中であり、時期は重なる。ただし、両者の関連について会社側は説明していない。

注視点

信託業の登録を受ける時期と、業務開始の時期が第一の焦点である。三井住友信託銀行本体の事業とJADATの役割をどう分けるのかも確認したい。暗号資産の保管や鍵の管理の技術を、ビットバンクから引き続き受けるのかどうかもあわせて見ておきたい。

進捗段階

実装トラック:⓪(設立準備会社の株主が変わる段階。信託業の登録、業務開始、顧客資産の受託は、いずれも確認できない) 規制トラック:対象外

用語解説

  • カストディ:顧客に代わって資産を保管・管理する業務。暗号資産の場合は、資産を動かすための秘密鍵をどう保管し、誰の承認で署名するかが中心になる。伝統的な金融では、信託銀行や保管銀行が有価証券について担ってきた役割にあたる。

    • 英:custody / 用例:Institutional investors want digital asset custody inside a regulated trust structure. (機関投資家は、規制下の信託の枠組みでデジタル資産を保管してほしいと考えている)
  • 信託会社:信託業法に基づき、内閣総理大臣の免許または登録を受けて信託の引受けを業として行う会社。銀行が兼営する信託銀行とは別に、信託業務に特化した会社として設立できる。デジタル資産の受託を専門にする会社を別に立てれば、既存業務とリスクを切り分けやすい。

    • 英:trust company / 用例:JADAT plans to register as a trust company specializing in digital assets. (JADATは、デジタル資産に特化した信託会社としての登録を計画している)
  • 倒産隔離:資産の保管者が破綻しても、預けた資産が保管者の債権者に取られないようにする仕組み。信託では、信託財産が受託者の固有財産と法的に区別されることで実現する。交換業者の破綻で顧客資産の返還が問題になった過去の事例から、機関投資家が特に重視する点である。

    • 英:bankruptcy remoteness / 用例:A trust structure gives clients bankruptcy remoteness if the custodian fails. (信託の構造なら、保管者が破綻しても顧客の資産は倒産隔離される)
  • 分別管理:顧客の資産を事業者自身の資産と分けて管理すること。暗号資産交換業者には法律で義務づけられているが、保管の主体はあくまで交換業者のままである。信託による保管は、この分別をさらに一歩進め、所有の名義ごと切り分ける手段といえる。

    • 英:segregation of client assets / 用例:Segregation of client assets is required, but trust law adds another layer of protection. (顧客資産の分別管理は義務だが、信託法はさらに一段の保護を加える)

出典

  • あたらしい経済「ビットバンク、JADATの保有全株式を三井住友信託銀行に譲渡へ」(ビットバンク発表の引用を含む)(2026年9月25日): https://www.neweconomy.jp/posts/611059
  • 日本デジタルアセットトラスト設立準備「暗号資産交換業者ビットバンク、デジタルアセットに特化した信託会社設立に向け、三井住友トラスト・ホールディングスとの間で出資に向けた基本合意書を締結」(2022年5月24日): https://jadat.com/news/20220524
  • SBIホールディングス「ビットバンク株式会社の株式取得(完全子会社化)に関する基本合意書及び株式譲渡契約締結のお知らせ」(2026年6月25日): https://www.sbigroup.co.jp/news/2026/0625_16429.html

本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-27

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