NEWS欧州実装①実証実験(PoC)2026-09-03

独発のトークン化預金CBMTにABN AMROが参加 ただし依然テストネット、実資金は動いていない

複数の銀行が発行するトークン化預金を相互につなぐ構想が、ドイツ国内から欧州規模へ広がりつつある。ただし公式に開示されている段階は、実資金を伴わないサンドボックスのままである。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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ドイツ銀行業委員会(GBIC)主導のトークン化預金の共同研究「Commercial Bank Money Token(CBMT)」に、蘭ABN AMROが参加している。公式サイトの参加行一覧にはコメルツ銀行、DZ銀行、ヘラバ、ウニクレディトに加え同行が掲載され、ドイツ国内の取り組みが域内他国へ広がった。専門メディアは9月2日にBNPパリバの参加も報じたが、公式一覧に記載はない。各行が自行トークンを発行し相互接続する設計は日本のDCJPYと課題を共有するが、CBMTは実資金を扱わない段階にとどまる。

何が起きたか

CBMTは、GBICが2021年に立ち上げたトークン化預金の共同研究である。ステーブルコインやCBDCと異なり、商業銀行に対する預金債権をそのままトークン化する位置づけで、既存の預金規制と会計基準の枠内で扱えることを前提とする。2025年11月にサンドボックスが立ち上がり、G+D、GFT、UDPNが技術サービス提供者として参加した。

公式サイトが9月3日時点で示す参加行は、コメルツ銀行、DZ銀行、ヘラバ、ウニクレディト、ABN AMROの5行、参加企業はBASF、ボッシュ、メルセデス・ベンツなど7社である。テスト通貨はユーロ、米ドル、円、テストチェーンはハイパーレジャー・ベスと公開チェーンである。検証中のユースケースは、IoT起点の従量課金決済、異なる銀行の口座間のアトミックなB2B送金、ERPへの組み込み、公開チェーン上のトークン化資産とのクロスチェーンDvP決済など5つである。同サイトは、これが実資金を伴わず規制上・契約上の義務も生じないテスト環境だと明記している。

なぜ重要か

日本では、ディーカレットDCPのDCJPYを軸に、複数の銀行がトークン化預金を発行し相互に使えるようにする構想が進む。ゆうちょ銀行が2026年度中を目途に取扱い開始を検討すると表明し、SBI証券・大和証券らはDCJPYによるSTのDVP決済を実発行で検証した。残る難所は、発行体が増えたときにA銀行のトークンとB銀行のトークンをどう等価に扱うかという相互運用の設計である。

CBMTが検証しているのはまさにこの多発行体・多チェーン・多通貨の構成である。特に、公開チェーン上のトークン化資産と許可型チェーン上の預金トークンとのクロスチェーンDvPは、国内でSTと決済手段のチェーンが分かれている現状に直結する。

注視点

最大の焦点は、欧州レベルで預金トークンが預金として扱われるかの確認である。独BaFinは2025年12月にCBMTを電子マネートークンではなく預金と分類したとされるが、欧州全体での整理は未了と報じられている。BNPパリバの参加についても公式な確認が出るかを追う必要がある。テスト通貨に円が含まれる点も見る価値がある。

進捗段階

実装トラック①(PoC)から②(限定的な実証)の中間。実資金は動いておらず、法的な権利移転も生じていない。参加行の追加は稼働段階の前進を意味しない。

用語解説

  • トークン化預金:銀行預金をブロックチェーン上のトークンとして表現したもの。発行体である銀行への預金債権である点が変わらないため、預金保険の対象となり、既存の預金規制と会計処理の枠内で扱えるとされる。発行体が破綻リスクを持たない裏付資産で保証するステーブルコインとは、法的性質が異なる。
  • CBMTブリッジ:各参加行が個別に発行するトークンを相互に接続するための仕組みとして報じられている構成要素。単一の共通トークンを作るのではなく、発行体ごとのトークンを残したまま相互運用を図る設計は、既存の銀行間決済における相互のコルレス関係に近い発想である。
  • クロスチェーンDvP決済:異なるブロックチェーン上にある証券と資金を、同時に受け渡す決済。証券が公開チェーン、決済資金が許可型チェーンというように基盤が分かれている場合に必要となり、片側だけが実行される事態をどう防ぐかが技術的な難所となる。
  • サンドボックス:規制当局や業界団体の管理下で、実際の顧客資金や法的義務を伴わずに新しい仕組みを試す環境。発表資料でしばしば実証実験と同義に扱われるが、本番稼働との距離は案件ごとに大きく異なるため、実資金の有無と法的効果の有無を確認する必要がある。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-03

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